JFEスチール、3年で1200億円コスト削減
JFEスチールは2015年度から3年間の次期中期経営計画で1200億円超のコスト削減を目指す。
老朽化した原料コークスの精製炉や発電設備などを更新、製鉄コストを約5%絞る。
国内需要の伸びが鈍化した中国の鉄鋼輸出は日本の国内生産に迫る年1億トン規模に膨らむ。
東アジア全体の鋼材需給が緩む中、コスト削減策を積み重ね、国内製鉄所の競争力を高める。
高炉で鉄鉱石と反応させるため製鉄工程の最初に使うコークスの精製炉は、
稼働から40年以上が経過した東日本製鉄所千葉地区(千葉市)と西日本製鉄所倉敷地区(岡山県倉敷市)の設備を16年までに順次刷新する。
投資額は合計で数百億円規模となる。
設備更新で原料に安価な石炭を使用してもコークスの安定生産が可能となり、原料費の削減や生産性改善につなげる。
千葉地区では約200億円を投じ、製鉄設備に電力を供給するための自家発電設備を今夏、導入する。
稼働から30年以上が経過していた従来の設備を、発電効率が高く、高出力な設備に置き換える。
高炉やコークス炉で発生するガスを使い燃料費をおさえるほか、発電能力を全体で2割引き上げ、エネルギー自給率を高める。
ほかにも、西日本製鉄所福山地区(広島県福山市)で約200億円を投じて新たな製鉄設備を14年末に立ち上げた。
溶けた鉄から不純物を効率的に取り除く転炉で、高い品質が求められる製品の歩留まりを高める。
15年度以降に本格的にコスト減に寄与するという。
中国では現地大手の宝山鋼鉄や武漢鋼鉄が大規模製鉄所の建設を進め、東アジアの鉄鋼需給が一段と緩む見通し。
国内生産の半分弱を輸出する日本の大手にとって競争環境はさらに厳しくなる。
新日鉄住金は15年度をメドに統合効果などで12年度比で年2000億円規模のコスト削減を進めている。
15年度末には君津製鉄所(千葉県君津市)の高炉を1基休止し生産効率を一段と高める。
神戸製鋼所も17年度をメドに加古川製鉄所(兵庫県加古川市)に製鉄工程の上流部分を集約し、12年度比で年750億円のコスト削減を目指している。
03年に川崎製鉄とNKKの鉄鋼部門が統合したJFEスチールは発足後に2基の高炉を休止し、これ以上の大型の生産集約は難しい。
老朽設備の更新や使用原燃料の削減、安価な石炭の使用比率を高めるなどして、コスト削減を進める。
日本経済新聞 電子版
2015/2/10