ナノカーボンチューブによる呼吸診断が研究されている
Pine Street FoundationのMicheal McCulloch氏らが、イヌの嗅覚がガンの診断に利用できる可能性を示唆した。イヌの嗅覚はヒトの10万倍以上であり、肺がんと乳ガンの患者の呼気と健常人の呼気と区別する訓練を行なった結果、高い感度と特異性が得られた。後にメラノーマ患者や膀胱ガン患者を特定出来ると報告されている。現在、イヌではなく機械による分析も試みられている。
ヒトの吐息には数千個以上の異なる化合物が含まれている。そこにレーザー光を照射し、気道炎症やガンなどの病気に特有の分子種を検出できる病気の診断方法が報告された。開発されたレーザー光は、病気に特有の分子種(バイオマーカー)を非常に高い感度で検出でき、同時に複数の分子を検出できる[1]。
例えば、メチルアミンが多く含まれる場合、肝臓や腎臓の疾患が疑われ、アンモニアが多い時は腎臓の病気、アセトンが多い時は糖尿病、一酸化窒素が多い時は喘息がそれぞれ疑うことができる。その他ではナノカーボンチューブによる喘息の気道炎症マーカーの検出にも呼気診断は利用できると報告されている。
日本でも、ガンを識別するために臭気診断を利用する研究がなされている。九州大などの研究チームが線虫によるガンが発する臭気診断の可能性が報告されている[2]。
実際に名古屋大大学院の研究チームではガン患者と健常者のおならに含まれるメチルメルカプタンの量の違いで大腸ガン検出の可能性を報告した[3]。
これらの臭気診断により、ガンや様々な病気の早期診断・早期治療が確立できるだろう。
[1] Cavity-enhanced optical frequency comb spectroscopy: application to human breath analysis
Michael J. Thorpe, David Balslev-Clausen, Matthew S. Kirchner, and Jun Ye
Optics Express, Vol. 16, Issue 4, pp. 2387-2397 (2008)
[2] A highly accurate inclusive cancer screening test using Caenorhabditis elegans scent detection
Takaaki Hirotsu*, Hideto Sonoda*, Takayuki Uozumi, Yoshiaki Shinden, Koshi Mimori, Yoshihiko Maehara, Naoko Ueda, Masayuki Hamakawa
PLOS ONE(2015)
[3] Generation of gaseous sulfur-containing compounds in tumour tissue and suppression of gas diffusion as an antitumour treatment.
Yamagishi K, Onuma K, Chiba Y, Yagi S, Aoki S, Sato T, Sugawara Y, Hosoya N, Saeki Y, Takahashi M, Fuji M, Ohsaka T, Okajima T, Akita K, Suzuki T, Senawongse P, Urushiyama A, Kawai K, Shoun H, Ishii Y, Ishikawa H, Sugiyama S, Nakajima M, Tsuboi M, Yamanaka T.
Gut. 2012 Apr;61(4):554-61. doi: 10.1136/gutjnl-2011-300721. Epub 2011 Aug